教授 石原俊治 この度、前任の木下芳一先生の後任として、2019年8月1日から島根大学医学部内科学講座(内科学第二)の教授を拝命いたしました石原俊治と申します。就任にあたりましてご挨拶をさせていただきます。

 私は、1988年3月に島根医科大学を卒業後(7期生)、同年より内科学講座(内科学第二)(消化器内科学)へ入局し消化器内科医としての生活をスタートいたしました。入局後は、島田宜浩先生(肝臓病)、福本四郎先生(消化管)、木下芳一先生(消化管)の3人の教授にご指導を賜り、一貫して消化器病学の臨床、研究、学生教育に携わってまいりしまた。

 入局後の1988年10月からは島根県立中央病院(当時の第一内科)へ赴任し、消化器病診療とともに救急医療において多くの症例を経験いたしました。この時期は消化器内科としての基礎を築くために、また、臨床医としての大局観を養うためには極めて貴重な時間であったと思っています。

 1994年1月から再スタートした大学生活では、消化管疾患に限らず胆膵疾患や肝疾患など広く診療にあたりました。そういう中で、若い頃から興味を持っていた炎症性腸疾患(IBD)の専門診療に徐々に傾倒していきました。人口の少ない島根県では患者数が決して多い状況ではなかったのですが、難病相談や県内各所の患者講演会などを定期的に続けたことで、大学病院の患者数も徐々に増え、2015年12月には大学病院にIBDセンターを設立するに至りました。現在では、外科の先生やコメディカルの皆様に多大な支援をいただき、質の高いIBDの専門診療が可能となっています。今後の診療においては、専門領域のIBDはもちろんですが、消化管疾患や胆膵疾患の診断や内視鏡治療、肝疾患の診断と治療など、消化器全般におけるマネージメントをおこなっていきたいと考えています。 

 研究面では、H.pylori感染や胃酸関連疾患の病態解析、専門領域のIBDの病態と関連した免疫学的な研究を精力的におこない、その成果を様々な雑誌に発表してきました。臨床研究のみでなく基礎的研究にも興味を持っており、現在も様々なプロジェクトを継続しています。単なる病態研究で終わることなく、臨床に貢献できるトランスレーショナルな研究を常に念頭に置き、今後は基礎の先生方や他大学の先生方と共同研究を益々進めていきたいと考えています。

 大学で働く教官として最も重要な任務が教育であると考えています。これまで、卒前教育、卒後教育、大学院教育に携わってきました。今後は国際認証を踏まえたカリキュラム変更も見据えて、学生が積極的になれる、参加型の教育現場を提供することが第一に必要と考えています。また、大学院教育では、院生に研究の面白さを教え、将来的には研究成果の発表を通じて海外留学につなげていける環境を築いていきます。医学教育にはこれまで以上に力を注ぎ、地域医療と高度医療に貢献できる医師、そしてリサーチマインドを備えた医師の育成に努めてまいります。

 今後とも診療、研究、教育におきまして、内科学講座第二に所属する医局員および関連施設の医師をよろしくお願い申し上げます。

島根大学医学部内科学講座(内科学第二)
教授 石原俊治