内視鏡的胆管膵管造影(ERCP)
ERCPとは
通常の胃カメラで使用する内視鏡が前方正面視であるのとは異なり,十二指腸専用の後方斜視の内視鏡を使用します.十二指腸まで挿入し乳頭部から胆管,膵管にカテーテルを挿入し造影剤を注入しX線で形態の変化を観察します.
ERCPの適応疾患と追加する処置
膵癌や胆道癌では診断のために細胞診や組織診を行います.
症例(1)
悪性胆道狭窄を伴う場合はプラスチックステントや金属製のステント留置を行います
症例(1):中部胆管癌症例に対する金属ステント留置
症例(2)
総胆管結石の場合は乳頭括約筋切開術や乳頭バルーン拡張術などを行い,特殊な器具を用いて結石を取り除きます.
症例(2):総胆管結石症例に対するEST
症例(3)
また島根大学病院では過去に腹部手術歴のある患者様に対しダブルバルーン小腸内視鏡を用いてERCPを積極的に行っています.
症例(3):胆管空腸吻合症例に対するダブルバルーン内視鏡併用ERCP
検査の流れ
ERCPは入院して行います.
- 咽頭麻酔,点滴ライン留置:アレルギーの既往のある方はおっしゃってください.
- 鎮痛剤,鎮静剤投与,酸素投与.
- 検査:10分~60分程度です.(検査風景)
- 拮抗剤投与
- 3時間のベッド上安静後,医師の診察や採血の結果で問題がなければ飲水を許可します.
翌日朝の経過が良ければ昼から経口摂取を許可します.
偶発症
最も注意しなければならないのが急性膵炎です.ほかには内視鏡による消化管粘膜の損傷,出血,穿孔,咽頭麻酔,鎮痛剤,鎮静剤によるアレルギー,血圧低下,呼吸不全などがあります.
偶発症には細心の注意を払いますが万が一発症した場合でも迅速に治療を行います.
ご不明な点は主治医にお聞き下さい.