肝臓内科

島根県の肝疾患診療連携拠点病院として、様々な肝疾患患者さんをご紹介いただいています。

高齢県という特徴を考慮して、高齢者に負担の少ない医療を心がけると共に、肝疾患に関する様々な啓発活動を積極的に行っています。

診療内容

 慢性肝疾患の侵襲的・非侵襲的進展度診断、B型・C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法、肝細胞癌に対する経皮的局所治療、肝細胞癌と肝内胆管癌に対する薬物療法、非アルコール性脂肪性肝疾患に対する専門的治療、肝硬変に合併した胃食道静脈瘤に対する治療、肝胆道系の急性炎症疾患の治療を中心に行っています。

特徴

スタッフ写真 肝疾患の診療において、慢性肝疾患の予後を規定する肝線維化の評価は重要です。当院では、非侵襲的に肝線維化を測定する超音波エラストグラフィの装置として開発されたFibroScanを導入しています。FibroScanで肝線維化の進展所見を認めた際には、侵襲的な検査である肝生検を行い、原因疾患に対する積極的な治療介入を行っています。

 新たなB型・C型慢性肝炎の患者さんは減っていますが、自身がB型・C型肝炎ウイルスに感染していることを知らずに生活している方がいます。当院では肝炎ウイルス検査を1年間に約1万人の患者さんが受け、全検査結果を肝臓内科で確認しています。検査結果が陽性である患者さんの病歴を確認し、必要であれば精密検査と抗ウイルス治療を行っています。 

 肝細胞癌の治療に関しては、切除不能な病巣に対して保険適用となった免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブ)と血管新生阻害薬(ベバシズマブ)による治療を積極的に行い(2020年12月~2023月3月の期間に42名に導入)、トレーシングレポートによるフォローアップも行っています。また、2種類の免疫チェックポイント阻害薬(デュルバルマブとトレメリマブ)を用いた治療を行う予定です。局所治療については、ラジオ波焼灼療法の次世代治療法として期待されている、マイクロ波焼灼療法を導入し、治療効果の向上を図っています。また、肝細胞癌に対する低侵襲治療として、定位放射線療法を行い、良好な治療効果を得ています。

 肝細胞癌の背景肝疾患としてウイルス肝炎が占める割合は減少し、生活習慣病である非アルコール性脂肪性肝疾患とアルコール性肝障害が占める割合が増えています。非アルコール性脂肪性肝疾患に対する治療薬は開発中であり、積極的に治験に参加し、患者さんと共に新たな治療に取り組んでいます。また、アルコール性肝障害の背景にあるアルコール依存症に対しては、最近保険適用となった飲酒量低減薬(ナルメフェン)による治療を行っています。