胆膵グループの紹介
胆膵グループ
島根大学第二内科胆膵グループでは超音波内視鏡(EUS)や逆行性胆管膵管造影(ERCP)などを用いて胆道疾患、膵疾患の診療を行っています。標準的な内視鏡手技に加え、バルーン内視鏡を用いて術後再建腸管を有する症例も積極的に診療しています。また胆道や膵の悪性腫瘍に対する薬物療法にも取り組んでいます。
1. 正しい治療は正しい診断から
効果的な治療には正確な診断が必須です。島根大学第二内科胆膵グループでは常に治療を見据えた診断戦略を立てています。診断戦略には存在診断、質的診断、範囲診断のほか、疾患の背景に何があるか、耐術能はあるのか、抗がん剤治療にはどの薬剤がベストか、など多くが含まれます。その中でも特にペルフルブタン造影などを用いた超音波内視鏡、親子式の経口胆道鏡を用いた胆管内腔の観察、拡散強調画像などを用いたマルチパラメトリックMRIによる膵腫瘍診断に力を入れています。患者様の病態を迅速に把握し、最善の結果を生み出すために必要な診断戦略を立案します。
2. 超音波内視鏡(EUS)を習得した医師の育成
診断において超音波内視鏡が果たす役割は重要です。しかし、超音波内視鏡は一朝一夕で習得することが難しい技術です。常にトレーナーとトレイニーがセットになって毎日がハンズオンセミナーのように研鑽を積んでいます。概ね6か月で細かいところまでクリーニングできるようになり、難易度の低い症例から徐々に穿刺吸引組織診(FNA)を経験します。約1年で独り立ちできるようサポートします。FNAが施行可能になればEUS下ドレナージなどの関連する手技を習得して頂きます。
3. 緊急内視鏡の実践
胆膵グループの特徴一つに急性胆管炎や急性膵炎などの急性期疾患が多いことが挙げられます。多くは消化器内科医にとって基本的な手技である内視鏡的乳頭切開術やステント留置術で対応可能であるため、胆膵グループのメンバーだけでなく、消化管腫瘍グループ、肝臓グループ、IBDグループに在籍しているサブメンバーにも担当してもらい日々の緊急内視鏡に対応しています。
しかし、超音波内視鏡を用いた手技、バルーン内視鏡を用いた手技(BAE-ERCP)、経口胆道鏡を用いた手技などは専門性が高いためグループのメンバーで対応しています。特にダブルバルーン内視鏡を用いた手技は高い技術が求められます。島根大学第二内科胆膵グループでは、術後再建腸管の目的部位への挿入、胆管膵管処置のいずれも同一の術者が行います。これにより胆管膵管処置に最適な術後再建腸管の挿入方法、スコープの位置取りを習得できるようになります。
また全身状態が不安定な例については救命救急センターや高度外傷センターのバックアップのもとハイブリッドERで処置を行っています。これにより循環呼吸動態を厳密に管理しながら治療が可能になり、外科的治療への移行が必要になった際もスムーズに連携可能です。
4. 他科との連携
胆膵疾患の治療には肝胆膵外科、放射線科などの他科との連携が欠かせません。定期的にカンファレンスに参加し術前診断、術後治療等についてディスカッションしています。病態を多角的に評価することは患者様の治療最適化だけでなく医師の自己研鑽にもフィードバックされます。
5. 関連病院との連携
島根大学第二内科胆膵グループでは松江赤十字病院、島根県立中央病院、出雲市立総合医療センター、松江生協病院、浜田医療センター、益田赤十字病院、大田市立病院など島根県内の多くの関連病院と連携しています。日頃から学会や研究会等で医師同士のコミュニケーションが活発です。関連病院で対応が困難な症例では、医師同士のダイレクトな連携で迅速な受け入れに努めています。
6. 学術活動
最善の医療を提供するためには学術活動が欠かせません。島根大学第二内科胆膵グループでは常に複数の臨床研究を行っています。また臨床研究では臨床統計が必須です。臨床統計についても随時セミナーを開き学術レベル向上を目指しています。さらにほかの研究グループとも連携し基礎的な研究についても追加していく予定です。
主なテーマは以下の通り
- 術後再建腸管を有するERCP関連手技の最適化
- 膵癌早期診断のためのマルチパラメトリックMRI
- 超音波内視鏡下胆道ドレナージの有効性と危険性の検証
- 胆管挿管困難例に対する超音波内視鏡下ランデブー法の最適化
- 膵癌患者と健常者の背景膵における超音波内視鏡像
- 膵癌に対する新規治療法の開発
- 胆膵内視鏡における放射線被ばく低減対策
上記以外にも学会等が主催している全国規模の研究に積極的に参加しています。
7. キャリア形成支援
島根大学第二内科胆膵グループでは医師のキャリア形成をサポートしています。臨床技術と学術活動のレベルアップを両立して頂きます。多くは大学院に入学して博士号の取得を目指します。国内だけでなく海外の学会でオーラル発表を経験して頂き、論文化、島根から世界に発信できる医師を目指します。
一方でライフスタイルの多様化に合わせたキャリア形成も重要です。診療や研究に多くの時間を割けない場合でも、個々に合わせて柔軟なサポートをします。